◆寄与分(きよぶん)という制度◆
相続のご相談で、よく聞かれる話があります。
それは・・・
「私は年老いた両親とずっと同居して面倒をみてきました。」
「他の兄弟はロクに協力もしなかったのに、遺産だけは均等に分けろと言ってきています。」
「そんなの不平等じゃないですか?」
うーん、わかります。。。
親の面倒をみるって、言うのは簡単だけど毎日続けるのは大変なものです。
お金のために両親の面倒をみたのではないとしても、やっぱり貢献した分は評価して欲しいというのが人情というものでしょう。
民法には、そういった不平等を是正するために「寄与分(きよぶん)」という制度があるんですよ。
◆どんな場合に認められる?◆
寄与分には、次のようなパターンがあると言われています。
(1) 家業従事型(親の仕事を手伝った)
(2) 金銭等出資型(親にお金をあげた)
(3) 療養看護型(親の看病をした)
(4) 扶養型(親の生活費を払った)
(5) 財産管理型(親の財産が減らないように管理した)
よかった!よかった!!
・・・と喜ぶのは、まだ少し早くて、、、
こういうことをやって、その結果、親の財産が減らないように維持したとか、親の財産を増やしたという場合だけ認められます。
つまり、家業を手伝った場合だと、それに見合う給料をもらっていたら貢献したことになりませんので、無報酬のような場合だけに限られます。
その他の(2)~(5)のパターンだと、親子だったら通常期待されるような程度を超えて、ものすごく貢献した場合だけに限られます。
じゃぁ、どれくらい貢献すればいいのよ・・・、という部分は、相続人の間で合意するか、それが無理なら家庭裁判所に決めてもらうしかありません。
弁護士に相談すれば、大体の目安がわかりますので、それに基づいて話し合いをすれば、裁判所を利用しなくて済むことも多くあります!
◆遺産をどう分けることになる?◆
例えば、父の遺産が5000万円を、子供2人が相続するケース。
長男には1000万円の寄与分があったとします。
(例)介護用に自宅改造費を出してあげた
この場合、長男が1000万円出していなければ、遺産は4000万円になっていたはずですよね。
ですから、遺産の中から、まず長男が優先的に1000万円もらいます。
残り4000万円を2人で分けます。
結果として、長男3000万円、次男2000万円となるわけですね!
こうなれば平等でしょ?
監修:弁護士 喜多英博
(横浜弁護士会所属)
日本大通り法律事務所
横浜市中区日本大通18
KRCビルディング5F